温度計センサーとは、温度を知るという目的において、人間の感覚器に代わる働きをするものです。人は皮膚や口の粘膜、舌などで温度を感じ取ることができ、今日は暑いとか寒い、あるいはこの飲み物は熱すぎて飲めないなどといったことを判断しています。このような皮膚感覚の役割を果たす何か別の仕組みや装置が温度計センサーということになるわけです。この意味では、単なる壁掛け型の寒暖計もこれに当てはまると言えなくもありません。
寒暖計があれば、人は皮膚感覚がなくても、視覚によって温度を知ることができます。より原理的に言えば、気温という情報を、寒暖計の液柱の高さという長さの情報に置き換え、人が目で見てその情報を把握できるようにしたものと言うこともできます。この考え方に照らせば、温度計センサーとは即ち温度情報を何か別の物理量に変換することで把握する仕組みとも言えます。温度に応じて規則的に変わる何か他の物理量があることが発見できれば、それは温度計センサーの候補になるわけです。
寒暖計であれば、液体は温度に応じて規則的に膨張するという発見をうまく利用しています。似たようなものとしてバイメタルがあります。固体である金属も温度に応じて規則的に膨張しますが、二種類の金属板を貼り合わせることで、膨張率の差に応じて湾曲するということをうまく利用しているわけです。これらの他にも温度に応じて規則的に変化する物理量はあり、温度計センサーに利用されています。